知床自然史講座(2011)が終わりました。

2011年2月5日、自然史講座5日目 綿貫豊氏特別講演会の様子

2月1日から開催されていた連続公開講座「知床自然史講座」が2月5日に終了しました。第1回は知床財団の野別貴博さんによる「サハリン、色丹島から見た知床の魚たち」でした。サハリンや色丹という他地域と比べることで知床の魚類相の特徴がよくわかりました。色丹はサハリンや知床より寒冷にすむ種の割合が多いそうで、これは色丹に暖かい海流が来ないためだとのことでした。

第2回は網走市立郷土博物館の梅田広大学芸員による「モヨロ人と海のけもの~オホーツク人と海獣の関わり~」でした。モヨロ人とは網走市街にあるモヨロ貝塚で発見されたオホーツク民族のこと。大きめの竪穴式住居に多人数で生活し、クマの頭を祭壇にまつっていたそうです。季節の食べものや海獣猟の方法など、当時の人々のくらしが生き生きとわかりました。

第3回は東京農業大学生物産業学部 水産増殖学研究室の園田武講師による「知床の海の生物多様性:名も知らぬ生きものたち」と題した講演です。海の無脊椎動物の世界はたいへんな広がりをもっています。学生実習のときに七色に変化するクシクラゲに目をうばわれたのを思い出しました。

第4回は東京農業大学生物産業学部アクアゲノムサイエンス研究室の白井滋教授による「現生サメ・エイ類とその進化」のお話でした。サメといえばすぐにジョーズのイメージになってしまいがちですが、とても多様な姿のものがいることがわかりました。自身が回転して魚に丸い歯型を残すダルマザメのお話も興味深かったです。

最終回2/5は北海道大学大学院水産科学研究院の綿貫 豊准教授による特別講演会「気候と海鳥~気候変動が起こすミスマッチ」でした。ウトウの餌となるカタクチイワシは海流の影響で食べられる時期が年によって変化し、ウトウの営巣は春に地面が融ける時期によってきまります。海流と春の気温とは異なる要因で変化しているので、タイミングが合わない年が生じてしまうということでした。毎回参加していただいた方もいらっしゃいます。ときにマイナス20度近い日もありましたが、講師のみなさん、ご来場いただいた皆さん、ほんとうにありがとうございました。

 
news/知床自然史講座が終わりました.txt · 最終更新: 2014/08/01 12:14 (外部編集)

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