幻氷とは?
幻氷(げんぴょう)は、オホーツク海の「海明け」を告げる春の風物詩です。ここでは幻氷と、幻氷と誤解されやすい別の蜃気楼現象について解説します。
※これら以外の条件でも流氷の上位蜃気楼が見られることがあり、下記3つに分類できない場合もある
幻氷
- 流氷が去っていく春先を中心に発生
- 「白いビル」や「厚い流氷帯」、「二重の流氷帯」、「氷の壁」、「白い大陸」のように見え(見え方は多様)、大きく迫力がある
- 帯状に見える像の上端が真っすぐに揃っている場合が多い
- 南から暖かい風が吹くことで起きる上位蜃気楼(条件が整った時のみ、まれに見られる)
- しばらく見ていると、虚像の形が変化する場合が多い
- 「おばけ氷」とも呼ばれる
他の幻氷の写真→「幻氷」を観測しました(2014)
流氷の下位蜃気楼
- 春先以外にも発生
- 流氷が「宙に浮いているよう」にみえる
- 像の上端がでこぼこしている
- しばらく見ていても、虚像の形が変化しない
- 見た目の規模が小さいため双眼鏡なしでは判別できないことが多い
- 海上を冷たい風が吹くことで起きる下位蜃気楼(海面が見えていれば頻繁に見られる)
真冬の流氷の上位蜃気楼
- 流氷が沖合まで密に接岸した厳冬期に発生(朝が多い)
- 流氷原と空のさかい目に、白い帯状やバーコード状の縦縞のように見える(見え方は多様)
- 流氷原が放射冷却などで強く冷え込むことで起きる
- 参考:「神秘“動く蜃気楼(しんきろう)” 」(NHKエコチャンネルへ)/動く蜃気楼との出会い(NHKエコチャンネルブログへ)(公開終了)
※写真中の気温はすべて直近のアメダス10分間値
参考文献
- 日本雪氷学会 北海道支部:北海道の雪氷 32号:流氷の蜃気楼の観察と「幻氷・おばけ氷」に関する考察