アイヌ語地名
北海道の地名の多くは、もとからあったアイヌ語地名に由来しています。しかし、開拓が進み、移住者が増加したことで新しい地名や呼び方ができ、その意味は忘れられつつあります。また地域によっては、古くからのアイヌ語地名はしだいに姿を消してしまいました。
そのなかで、知床半島には、まだ多くのアイヌ語地名が残されており、実際に人々の生活のなかで使われています。代表的なものをいくつか紹介しましょう。
現在の地名 | もとのアイヌ語地名 | 意味 |
---|---|---|
知床(しれとこ) | シレトク〈sir.etok〉 | 大地の・行きづまり |
カムイワッカ | カムイワッカ〈kamuy.wakka〉 | 神(魔)の・水 |
宇登呂(うとろ) | ウトルチクシ〈uturu.chi.kus.i〉 | その間を・我々が・通る・所 |
斜里(しゃり) | シャリ〈sari〉 | アシ原 |
羅臼岳(らうすだけ) | チャチャヌプリ〈chacha.nupur〉 | 老いた・山 |
斜里岳(しゃりだけ) | オンネヌプリ〈onne.nupuri〉 | 老大な・山 |
幌別川(ほろべつがわ) | ポロペッ〈poro.pet〉 | 親の・川 |
フレペの滝 | フレペ〈hure.pe〉 | 赤い・水 |
タンネウシ | タンネニウシ〈tanne.ni.us.i〉 | 長い・木の・群生している所 |
ガッタンコ | カタムコトー〈katamko.to〉 | 湿地の上にある・沼 |
参考文献
- 第6集「知床半島西岸の地名と伝説」、
- 第8集「地名探訪しゃり」
- 斜里町史「斜里郡内アイヌ語地名解」、知理真志保(1955)
- 知理真志保著作集「地名アイヌ語小辞典」、知理真志保(1973)
- 北海道蝦夷語地名解、永田方正(1972)